ATC(自動工具交換)付きの卓上CNCを探していて、最後まで残ったのがToolDance X1とTwoTrees ED1でした。値段の面でも、用途の面でも、すごく悩みました。

結局、自分はX1を支援しました。ただ、ED1のほうが合う人もはっきりいると思います。迷った順番どおりに、2台の違いを並べてみます。

X1は支援済みですが、まだ届いていません。ED1は持っていません。どちらも公式の仕様とメーカーの回答に基づく比較で、同じ条件で削り比べた結果ではありません。価格は2026年11月1日に確認しました。

先に結論:どっちが向いている?

重視すること向いている機種
チタンやステンレスを削りたいX1
大きめの部品を削りたいX1
あとから4軸・5軸に広げたいX1
軽くて、部屋に置きやすい機械がいいED1
早く使い始めたいED1(12月出荷)
翡翠などの石も削ってみたいED1
アルミや木、樹脂が中心で、工具交換を楽にしたいどちらでもいい。安さと軽さならED1

2台の違いを一覧で

項目X1ED1
本体の価格2,999ドル(VIPは実質2,799ドル)予約2,699ドル(通常4,399ドル)
届く時期2027年3月から発送予定12月から出荷
加工範囲400×265×180mm300×200×120mm
主軸1,500W、24,000rpm。日本の100Vでは約900〜1,000W600W、18,000rpm
工具交換自動で9本自動で5本
冷却エアが標準。液体の冷却(フラッド)を追加できる公式ページに冷却の記載なし
回転軸4軸・5軸のモジュールを追加できる4軸を追加できる
重さ100kg38kg
電源100〜240V(メーカーの回答)100〜120V/200〜240V、最大840W

出典:ToolDance X1(Kickstarter)、TwoTrees ED1 公式商品ページ。X1の100Vでの出力は、ToolDanceにメールで聞いた回答です。

値段:本体どうしなら、差は小さい

最初に悩んだのは値段でした。ただ、本体どうしで比べると、差は思ったより小さいです。

  • X1: Kickstarterの早期価格で2,999ドル。VIP予約をしていた人は、キャンペーン後に200ドルが戻るので、実質2,799ドルです。
  • ED1: 予約価格で2,699ドル。9月上旬は2,099ドルでしたが、その後2,399ドル、10月中旬から2,699ドルと上がってきました。

差が開くのは、オプションを足したときです。X1は4軸モジュールが699ドル、5軸モジュールが1,099ドル、液体の冷却が799ドル(どれもキャンペーン中の価格)。ED1は4軸付きのセットが3,148.1ドルです。

送料も別にかかります。X1は送料が後から請求され、アジア太平洋向けの目安は本体で300ドルです(送料の表に日本の名前はありません)。関税や消費税込みで届けるDDPという方式です。ED1の送料は、注文画面で確かめてください。

1ドル150円で計算すると、本体だけならX1が約45万円(VIPは約42万円)、ED1が約40.5万円です。

いちばんの違いはチタン

自分が作りたいのは、チタンのキーキャップのような金属の小物です。なので、いちばん見たのはチタンを削れるかでした。

X1 は、Grade 5のチタン合金と304ステンレスを、それぞれ60分以上続けて削ったというメーカーの試験を公開しています。刃の太さや回転数、削る幅まで載っています。冷却は空気を吹くエアが標準で、液体を流し続けるフラッドも追加できます。くわしい条件はX1の記事にまとめました。

ED1 は、公式の材料一覧にチタンが入っています。ただ、すぐ横に「軟鋼とチタンは、長時間の加工は推奨しない」と書いてあります。公式ページには冷却の仕組みも見当たりませんでした。薄い板を抜いたり、浅く彫ったりするくらいなら守備範囲に入りそうですが、塊から削り出すような使い方は向いていないと思います(ED1の記事)。

チタンを諦めて別の機械を買っても、結局またチタンを削りたくなると思うんですよね。なので、ここは外せませんでした。

大きさと重さ:100kgと38kg

チタンではX1に傾いていましたが、最後まで引っかかったのが重さです。

X1は100kg、ED1は38kg。自分は家の2階に置きたくて、これからの引っ越しも考えると、100kgのX1は運ぶのが大変です。ED1は半分以下の重さです。

その代わり、加工範囲はX1のほうがひと回り大きく、横に10cm、奥に6.5cm、高さに6cm広くなります。キーボードのプレートのような横長の部品や、厚みのある材料を削るなら、ここが効いてきます。

段取り:どちらも工具交換は自動

どちらもATCが付いていて、工具を自動で替えてくれます。ここは2台とも、自分が欲しかったところです。高専で旋盤やフライス盤を使っていたとき、工具を替えて高さを合わせ直す作業が面倒でした。

  • X1: 9本まで自動で交換。3Dのタッチプローブと、工具の長さを測る装置も付いています。
  • ED1: 5本まで自動で交換し、手で替えると2〜5分かかるところが約10秒。カメラも付いています。

キーキャップなら、荒く削る刃、穴をあける刃、仕上げの細い刃と、3〜4本あれば足ります。5本でも9本でも、まず困らないと思います。

自分がX1を選んだ理由

正直、X1のクラウドファンディングがなかったら、ED1を買っていたかもしれません。それくらい迷いました。決め手は、大きい順に4つです。

  1. 値段: Kickstarterの早期価格は2,999ドルで、通常価格5,999ドルの半額です。VIPなら実質2,799ドルで、ED1との差は100ドルまで縮みました。
  2. 拡張性: あとから4軸と5軸のモジュールを足せます。ED1で足せるのは4軸までです。4軸と5軸で何が変わるかは、家庭用CNCに4軸・5軸は必要?にまとめています。
  3. 削れる金属の強さ: チタンとステンレスを削った条件が公開されていて、液体の冷却も足せます。ED1はチタンについて、メーカー自身が長時間の加工を勧めていません。
  4. 加工範囲の広さ: 横に10cm、奥に6.5cm、高さに6cm広く削れます。

ED1のほうがよかったかな、と思うところ

ED1でできることは、たぶんX1でもできると思っています。なので、ED1にしかないことは特にないと感じています。それでも、次の2つはED1のほうがよかったかな、と思うところです。

  • 早く届く: 12月から出荷です。X1は2027年3月からなので、3か月ほど早く使い始められます。
  • 値段が少し抑えられる: 本体は2,699ドル。4軸付きのセットでも3,148.1ドルで、X1に4軸を足す(3,698ドル)より550ドルほど安くなります。

ほかにも、ED1は38kgと軽く、公式の対応材料に宝石が載っています(X1の公式の対応材料には載っていません)。翡翠については、TwoTreesにメールで聞くと、水を使いながら削った社内試験の話が返ってきました。標準のED1は防水ではないので、正式な加工方法ではありません(翡翠の記事)。

ED1のほうが向いている人

逆に、次のような人にはED1のほうが合うと思います。

  • 削るのはアルミや木、樹脂、基板が中心で、チタンにはこだわらない
  • 2階や狭い部屋に置きたい、引っ越しの予定がある
  • 年内に使い始めたい
  • 翡翠などの石を削ることに興味がある

まだ分からないこと

  • X1の100Vでの実際の消費電力。 メーカーは「家のコンセントで使える」と回答していますが、届いたら測ってみるまで分かりません。
  • ED1でチタンを削った実例。 12月に出荷が始まって、使った人の結果が出てきたら、この記事にも追記します。
  • 日本に届くまでの実際の流れ。 X1は2027年3月に届いたら、送料や受け取りの様子を書く予定です。

参考資料