前回紹介したTwoTreesの卓上CNC「ED1」。ATCとエンクロージャーが付いていて、サイズと価格も含めて、自宅用の候補に入れている機械です。

その対応素材に「Gemstone」と書かれていたので、どんな石を、どう加工するのか、TwoTreesに問い合わせました。公式の素材一覧にも「Gemstone」が掲載されています。1

回答に出てきたのは、翡翠(jade)を、水を使って加工した試験でした。2工具や加工条件の参考値についても教えてもらえたので、今回はその内容を紹介します。

筆者はED1を所有していません。この記事は実機レビューではなく、TwoTrees ED1チームからのメール回答をもとにした続報です。

「Gemstone対応」の根拠として挙がったのは、翡翠の加工試験

初回の返信には、次の説明がありました。

We have actually tested jade on the ED1, using water during the machining process.

ED1で、加工中に水を使って翡翠の試験を行ったことがある、という回答です。3

メーカーによると、「Gemstone」の対応表記は、この翡翠の実試験に基づいているとのこと。一方で、すべての種類の宝石を体系的に試験したわけではないとも説明されています。3

つまり、今回Gemstone表記の根拠として教えてもらえたのは翡翠です。「宝石なら何でも加工できる」という意味ではありません。

工具はダイヤモンド系。加工条件も参考値を教えてもらえた

宝石加工用として案内されたのは、ダイヤモンドコーティング工具やダイヤモンド研削工具です。具体例として、1〜4 mmのダイヤモンド系ボールノーズ工具やテーパー工具が挙げられていました。3

翡翠について示された、加工を始める際の参考値は次のとおりです。

項目メーカーが示した参考値
主軸回転数12,000〜18,000 rpm
送り速度300〜800 mm/min
1パスあたりの切込み0.1〜0.3 mm
工具1〜4 mmのダイヤモンド系ボールノーズ/テーパー工具

出典:TwoTrees ED1チームの初回メール回答。3

メーカーは、これらを石の硬さや工具に応じて調整する参考値としています。実試験で使った条件を確定できるデータではなく、加工品質を保証する設定でもありません。

「宝石対応」という一語だけでは分からなかった工具の種類と条件の目安が、ここで具体的になりました。

標準のED1に、そのまま水をかけてよいわけではない

湿式加工については、工具や回転数と同じくらい大事な説明がありました。

標準のED1は防水設計ではなく、研磨スラリーにも対応した設計ではないとのことです。スラリーとは、ここでは加工で生じた石粉などを含む液体のことです。メーカーは、機械に直接水を使うことを推奨していません。3

湿式加工を行う場合は、外部の設備から加工物へ連続的に水を供給し、その下で回収して、機械の部品に水が届かないようにする必要がある、と説明されています。3

水を使った試験があることと、本体に防水機構や給排水設備がそろっていることは別です。エンクロージャー付きだから、その中へそのまま水を流せる、という案内ではありません。

翡翠の湿式加工を考えるなら、加工条件だけでなく、この給水・回収の扱いも前提になります。

ただし、正式な加工ソリューションとしては未提供

その後の返信では、この翡翠の湿式加工について、社内R&Dテストの一環であり、まだ正式な加工ソリューションとしてリリースしていないと補足されました。4

また、追加の公式パラメータ、テストデータ、写真・動画は、現段階では記事用に提供できないとのことでした。4

初回に教えてもらった参考値も、この位置づけとあわせて読む必要があります。工具や加工方法について説明はもらえましたが、購入者向けの正式な湿式加工手順として提供されたものではありません。

翡翠のアクセサリーや、小さな彫刻を作ってみたい

自分なら、翡翠でアクセサリーを作ってみたいです。小さなオブジェクトを彫るのも楽しそうです。

龍と雲の透かし彫りが施された、ひも付きの翡翠のペンダントを写した白黒写真
翡翠(ジェダイト)の装飾品の参考写真。The Met所蔵「Pendant with dragon」(65.86.155)。ED1の加工品やメーカーの試験写真ではありません。画像:The Metropolitan Museum of Art/Open Access(CC0)。Alfred W. Hoyt Collection, Bequest of Rosina H. Hoppin, 1965.

今回、仕上がりを見せられる写真や動画までは得られませんでしたが、少なくとも「Gemstone対応」が何を根拠にしているのかは、メーカーの回答で分かりました。

翡翠を水を使って加工した試験があり、ダイヤモンド系の工具と参考条件が案内されている。ただし、標準機は防水ではなく、試験は社内R&Dとしてのもの。 ED1で宝石加工を考えるなら、この範囲で受け取るのが正確です。

ED1本体の装備や他機種との比較は、前回のED1購入検討記事にまとめています。 最新の製品情報は、TwoTrees ED1公式商品ページで確認できます。

TwoTrees ED1 公式製品ページ
https://twotrees3d.com/collections/cnc-router/products/twotrees-ed1-cnc-router-machine

今回の問い合わせに詳しく回答いただき、記事への引用・要約も快く許可してくださったTwoTrees ED1チームの皆さまに、改めて感謝いたします。まだ正式な加工ソリューションではない段階の情報についても、公開できる範囲を丁寧に教えていただきました。

出典:TwoTrees ED1チームから筆者への初回メール回答、および後続の補足回答。初回回答の内容については、同チームへの帰属を明記した引用・要約の許可を得ています。


Footnotes

  1. TwoTrees ED1公式商品ページ。2026年9月18日に公式素材欄のGemstone表記とATC・エンクロージャーの掲載を確認。メールの試験内容を公開仕様と混同していません。 ↩

  2. メール原文は「jade」で、ジェダイト(硬玉)・ネフライト(軟玉)などの種類は明記されていません。この記事の「翡翠」はメーカーのjade表記を訳したもので、硬玉の加工を確認したという断定ではありません。jadeが複数の材料を指すことについては、GIA「Jade Description」を参照。 ↩

  3. TwoTrees ED1チームから筆者への初回メール回答。翡翠の実試験、Gemstone表記の根拠と対象の限界、工具・参考条件、標準機の非防水・研磨スラリー非対応、外部設備から加工物へ連続的に水を吹きかけ、その下で回収する方式についての説明。参考条件を実試験の確定条件や保証値とは扱っていません。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  4. TwoTrees ED1チームから筆者への後続メール回答。翡翠の湿式加工は社内R&Dテストの一環で、正式な加工ソリューションとして未リリース。記事用の追加公式パラメータ・データ・写真・動画は現段階では提供不可との説明。以前の返信について、同チームへの帰属を明記した引用・要約の許可を得ています。公式製品ページへのリンク掲載も依頼されています。 ↩ ↩2