チタンやステンレスの小物って、かっこいいんですよね。自分でも欲しい形のものを作りたくて、ToolDance X1をVIP予約しました。

X1は、コンピューターの指示どおりに刃を動かして材料を削る、卓上のCNC加工機です。金属を削ると機械にも大きな力がかかるので、自分がいちばん気にしているのは、その力でたわまないかどうか。このたわみにくさを「剛性」といいます。

以前から気になっているC500と比べると、X1の違いは大きく三つありました。金属を削るための主軸と冷却、材料を傾けられる5軸への拡張、そして削り始める前の準備を手伝う機能です。どれが効いてくるかは、何を作るかで変わります。

逆に、自動工具交換と自動CAMはC500にもあります。そこだけが欲しいなら、X1を選ぶ決め手にはなりません。

実機は未所有・未使用で、この記事は購入前の調査です。数値は2026年9月20日に確認したメーカーの公表値・投稿と、筆者へのメール回答によるもので、筆者が追試したものではありません。両機を同じ条件で比べた結果はないため、どちらが速いか、どちらが硬いかまでは判断できません。

ToolDance X1 公式商品ページ / NestWorks C500 公式商品ページ

金属を削る装備:主軸と冷却の違い

金属の小物づくりでは、主軸と冷却の装備に加えて、使いたい材料をどんな条件で削れたかが手がかりになります。X1の試験に載っているのは、Grade 5というチタン合金と、304というステンレスです。同じ「チタン」でも種類が違えば削り方が変わるので、材料名までそろえて見ています。X1公式仕様表

1,500Wと800W、出力の差がそのまま削る速さの差ではない

刃を回す主軸は、C500が800W・最高18,000 rpm、X1が1,500W・最高24,000 rpmです(rpmは1分間の回転数)。X1は、回転数を下げても回す力を保てる主軸だと説明しています。C500の主軸仕様/X1の主軸仕様

材料をたくさん削り取るには、刃を回し続ける力、つまりトルクが要ります。出力が倍近いX1は、金属を削る機械としてやっぱり気になります。ただ、トルクも出力も回転数によって変わるので、1,500W÷800Wの比率がそのまま削る速さの差になるわけではありません。工作機械メーカーも、回転数ごとのトルクと出力を曲線で示しています。Haasの主軸特性図

それに、自分が気にしている剛性は、主軸の出力とは別の話です。回す力に余裕があっても、機械や刃、材料の固定がたわめば形はずれます。X1は鋳造アルミ合金フレームの補強、C500はアルミ合金フレームと鋼のテーブルを案内していますが、同じ力をかけたときに何mmたわむかまでは分かりません。X1の構造/C500の構造

冷却は「吹く」か「流す」か

削っていると、刃と材料は熱くなり、削りくずも出ます。それを逃がすのが冷却です。C500は少量の潤滑油を霧にして吹くMQLとエア冷却。X1は空気を吹くエアブローが標準で、液体を流し続けるフラッドクーラントを追加できます。ここからはエア、フラッドと呼びます。C500のMQL/X1の冷却

X1ならではなのは、液を流しながら削るという選択肢があることです。とはいえ、フラッドならいつでも上というわけではなく、効き方は流量や液の当て方、刃と削り方で変わります。

液を使うなら、補充や削りくずの掃除が増えますし、水で薄めるタイプなら濃度の管理もあります。一般的な工作機械でも定番の保守項目ですが、X1でどのくらいの頻度・費用になるかはまだ分かりません。Haasの冷却液・タンクの保守項目

チタンとステンレスを60分以上削った条件が出ている

X1には、Grade 5チタンと304ステンレスを、それぞれ60分以上続けて削ったというメーカーの試験情報があります。刃の直径、回転数、削る幅まで書いてあるので、自分がやりたい加工に近いかを見比べやすい資料です。試験条件と脚注

使った刃は直径6 mm。材料の側面に刃の一部だけをかけて、少しずつ削る条件です。たとえば液体で冷やしたチタンでは、高さ5.2 mmの範囲を、横に0.3 mmずつ削っています。

6 mm工具で、横に0.3 mmずつ削る条件チタンのフラッド切削条件。上面では工具の端だけを材料にかけ、側面では高さ5.2mmを使う。寸法は公称値、配置は説明用。 高さ5.2 mm × 横幅0.3 mmGrade 5チタン / フラッドの掲載条件 上から見る横から見る 刃径6 mm材料 横幅0.3 mm=刃径の5% 5.2 mm使う刃の高さ 材料の側面を削り広げる 幅6 mmの溝を丸ごと掘る条件ではありません 公式の加工条件から作図 / 横からの図は切込みを拡大した模式図
X1のGrade 5チタン・フラッド条件を説明するための作図。高さ方向の切込みと横方向のかかりを分けています。寸法は公式値、図は説明用で一部を拡大しています。

刃の幅いっぱいで深さ5.2 mmの溝を掘った条件とは違うので、そこは読み違えないようにしたいところです。

詳しい試験条件を見る:刃の回転数・動く速さ・切込み

「切込み」は一度に刃をかける幅や高さ、「送り速度」は刃と材料が相対的に動く速さです。「rpm」は一分間の回転数を表します。全行で刃の直径は6 mm、高さ方向の切込みは5.2 mmです。

材料・冷却横方向の切込み主軸回転数送り速度除去量の計算値
Grade 5チタン・エア0.2 mm4,000 rpm1,200 mm/分1.248 cm³/分
Grade 5チタン・液体0.3 mm8,000 rpm1,600 mm/分2.496 cm³/分
304ステンレス・エア0.2 mm8,000 rpm1,600 mm/分1.664 cm³/分
304ステンレス・液体0.3 mm10,000 rpm2,000 mm/分3.120 cm³/分

出典:公式仕様表のMaterials欄と脚注。「エア」はAir Blast、「液体」はFlood Coolant。メーカーは、社内で発売予定の自社工具ラインの標準工具を使い、各条件をStandard Modeで60分以上連続検証したと説明しています。最大能力を示す値ではなく、除去量は切込みと送りから求めた公称の計算値です。

フラッドが効くのは、たくさん削り取るとき

エアとフラッドでは、メーカーが示す削り方も、1分あたりに削り取る量も違います。公表条件から計算すると、フラッドのほうがチタンで2倍、304ステンレスで約1.88倍。ただし回転数や送りの速さも変えているので、冷却方法だけの差ではありません。

下のグラフのcm³は体積の単位で、1 cm³は一辺1 cmのサイコロ1個分です。棒が長いほど、1分でたくさん削る条件です。

X1の材種別の公称除去量Grade5チタンはエア1.248、液体2.496。304ステンレスはエア1.664、液体3.12立方センチメートル毎分。切込みと送りから計算された公式値。 一分あたり、どれくらい削る条件か公称除去量(cm³/分)/ 同じゼロから比較 エアフラッド Grade 5チタン 1.248 2.496 304ステンレス 1.664 3.120 0123 冷却に加え、回転数・送り・切込みも異なります ToolDance公式仕様表から作図 / 部品の完成速度・実測比較ではありません
公式の公称除去量から作図。液体条件では回転数・送り・横切込みも変わっています。冷却だけを変えて比べた実験ではありません。

この差が効いてくるのは、塊から大きく削り出すときです。細かい仕上げが中心なら、削る量より、細い刃の扱いや仕上がりの寸法を先に見たほうが目的に合います。

もう一つ、これはX1の中で条件を変えた比較なので、C500のMQLより速いという話ではありません。1分あたりの量が2倍でも、刃を入れる動きや移動、仕上げ、工具交換があるので、完成までの時間が半分になるわけでもないです。エアでも連続切削は検証されているので、「チタンにはフラッドが必須」とも言えません。装備の差額や刃の寿命、液の管理費もまだ分からないので、追加費用の元が取れるかも計算できません。

塊からたくさん削り出したいなら、X1の主軸とフラッドの組み合わせは、C500と比べてみる価値があります。 装備の選択肢と具体的な切削条件がそろっているからです。

完成品の精度から、時計まで作れそうか

小物を作るなら、削り続けられるだけでなく、狙った寸法に仕上がることも大事です。ここはメーカーが公開している完成品の測定結果を見てみました。

160 mmの試験片は、どれくらいずれたか

メーカーは、160 mmの試験片を三次元測定機(CMM)で測った結果を公開しています。部品のあちこちを測って、大きさや形のずれを調べる装置です。

投稿にある二つの寸法は、目標160.0000 mmに対して160.0176 mmと160.0193 mm。目標より0.0176 mmと0.0193 mm大きかった、という結果です。メーカーは、検査した項目はすべて許容範囲に入ったと説明しています。160 mm試験片の測定結果

ただ、試験片の材料と検査報告書の全文は確認できていません。どこまでのずれを許せるか(これを公差といいます)は作る部品で決まるので、自分の部品に使えるかは、近い材料・形で削った結果を見ないと分かりません。表面のきれいさも、この数字からは読めないので、仕上がりの写真も合わせて見たいです。

CMMの測定項目と数値を詳しく見る

µm(マイクロメートル)は、1 mmの1,000分の1です。例えば20 µmは0.020 mmにあたります。以下は、それぞれ異なる形状や位置を評価した数値で、足し合わせて完成品全体の誤差にするものではありません。

測定項目メーカーが投稿した結果読み取れること
公称160.0000 mmの寸法160.0176 / 160.0193 mm公称に対し+17.6 / +19.3 µm
真直度0.0022〜0.0137 mm測定した線の真っすぐさ
直角度0.0022〜0.0197 mm基準に対する直角からのずれ
同軸度0.0038〜0.0064 mm軸のそろい方
真円度0.0104 mm測定した円の丸さ
位置度・最大値0.0109 mm基準に対する位置のずれを評価した値

出典:ToolDanceの160 mm試験片CMM測定(2026年9月3日)。数値は投稿本文の記載で、メーカーは全項目が公差内だったと説明しています。検査報告書全文・測定の不確かさ・試験片の材種は未確認です。

チタンについては、Grade 5をエアで冷やして、荒く削るところから仕上げまで行い、CMM検査に合格したという投稿もあります。ただ、個別の測定値は載っていません。Grade 5チタンの加工・検査

ねじの例では、TA2という別の種類のチタンに、M6のねじ穴を切った投稿があります。時計に使うような小さなねじとは、大きさがまったく違います。TA2チタンのM6加工

時計の細かい部品は、細い刃で削れるかが次の確認点

時計に挑戦したい自分としては、細い刃でどこまで削れるかが気になります。直径6 mmの刃の試験やM6のねじ穴は、時計の中の小さな部品を作れる根拠にはなりません。形が細かくなるほど、そこに入る細い刃が必要になるからです。

細い刃を深く入れるほど、刃そのものもたわみやすくなります。フレームの頑丈さだけでなく、必要な太さの刃で、必要な深さまで、狙った形に削れるかを見たいところです。刃の形・届く深さの設計解説

金属の受け板、歯車、ねじ、赤い石が密に並ぶETA2801のムーブメント
時計内部の参考写真。外装から内部機構へ進むほど、評価したい寸法や加工方法が変わります。X1の加工例でも、筆者の作品でもありません。写真:Micky Aldridge(Micky.! / S STEEL)「The Movement that started it all, the ETA 2801」、CC BY 2.0、Wikimedia Commons経由。原画像を無改変で掲載。

X1の仕様には「位置決め繰り返し精度±0.01 mm」とあります。これは同じ位置に何度も戻れるかの値で、削った部品が全部±0.01 mmに収まるという意味ではありません。実際に削るときは、刃のたわみや回転中のぶれ、材料の固定も効いてきます。

主軸の振れは「10 µm以下 @ 45 mm」と公表されています。10 µmは0.01 mmです。ただ、これは主軸側を測った条件付きの値なので、細い刃の先でどれだけぶれるかは、工具や保持具も含めて確かめたいです。繰り返し精度・主軸振れの公式仕様

今の資料で分かるのは、試験片の寸法と、チタンの検査合格・M6ねじの報告までです。時計の細かい部品を作れるかは、まだ分かりません。 作りたい部品に近い条件で、細部の形と寸法が出ている例を待ちたいと思います。

準備の手間は、C500よりどれだけ減りそうか

精度と同じくらい気になるのが、削り始めるまでの準備です。材料をどの向きで押さえるか、刃をどこから当てるか、加工の指示をどう作るか。ここにもC500とX1の違いがあります。

4軸と5軸の違いは、材料をどう向けられるか

基本の3軸は、刃と材料を左右・前後・上下に動かして削る方式です。上から刃が届く形なら、まずはこれで足ります。

裏や横を削りたいときは、材料の向きを変えます。手で持ち替えると、固定と位置合わせをやり直すことになります。この向き変えを機械にやってもらうのが、追加の回転軸です。

C500は同時4軸のモジュール、X1は同時5軸に拡張するモジュールを案内しています。4軸では、材料を一本の軸の周りに回せます。5軸ではもう一つ回転が増えて、回したうえで傾けることもできます。C500の4軸/X1の5軸/4軸・5軸の動きの解説

4軸は一つの軸で回し、5軸は回したうえで傾ける左は4軸の概念図で、材料を横向きの一本の軸の周りに回し、上から下りる刃を側面へ向ける。右は5軸の概念図で、材料を載せた台を回し、さらに台ごと傾けて、斜めの面へ刃を向ける。一般的な概念図で、特定の機械の機構ではない。 4軸は「回す」、5軸は「回して、傾ける」 刃は上から下りたまま、材料の向きを変える 4軸 5軸 一本の軸の周りに回す 回転軸 台を回す 台ごと傾ける 順番に回せば、側面へ刃を向けられる 傾いた面や斜めの穴にも向けやすい 一般的な概念図 / 特定の機械の機構、可動範囲、精度を示すものではありません
4軸(青)と5軸(オレンジ)で、材料の向きの変え方がどう違うかを示す一般的な概念図。C500やX1の機構・可動範囲を描いたものではありません。

選ぶときの目安は、削りたい面に刃を向けるのにどんな動きが要るかです。順番に回せば届くなら4軸、回したうえで傾けないと届かないなら5軸。実際の部品で届くかは、機械の角度の制限や、固定具にぶつからないかも含めて確かめます。

5軸の機械には、向きを変えて止めてから削る「3+2加工」と、向きを変えながら削る「同時5軸加工」があります。傾いた面にまっすぐ穴を開けるなら前者、削りながら刃の向きを変えたい形なら後者です。どちらにしても、軸が増えたから精度が上がるわけではありません。

それと、5軸にすると載せられる部品の大きさが変わります。X1の3軸の移動範囲は400 × 265 × 180 mm。5軸で載せられる部品の最大寸法は、3+2で80 × 114 × 92 mm、同時5軸で80 × 80 × 80 mmです(開発中の仕様)。加工範囲の公式仕様

3軸の広さと5軸の最大ワークは分けて読む3軸移動範囲400×265mmと同時5軸最大ワーク80×80mmを上から同一縮尺で比較。高さは180mmと80mm。5軸は開発中。 5軸では「80 mm級」のワークへ上から見た寸法を、同じ縮尺で並べた図 3軸:移動範囲 400 mm265 mm 同時5軸最大ワーク寸法 80 mm80 mm 高さ方向:180 mm高さ:80 mm 3+2加工の最大ワークは80 × 114 × 92 mm 公式値から作図 / 5軸は開発中仕様 / 治具・旋回範囲の図ではありません
公式値を上面の同一縮尺で比較。左は移動範囲、右は最大ワーク寸法という異なる指標で、治具や旋回範囲の配置図ではありません。5軸は開発中の仕様です。

左は機械が動く範囲、右は載せる部品の最大寸法なので、同じものを比べた図ではありません。5軸では部品を傾ける空間と固定具の場所も要るので、部品が寸法内に収まっていても、好きな向きで削れるとは限りません。

小さな部品をいろいろな方向に傾けて削りたいなら、5軸に拡張できるX1を選ぶ理由になります。 一つの回転で足りるならC500の4軸も十分候補ですし、上から削るだけなら5軸に予算を回す必要はありません。

気をつけたいのは、加工指示を自動で作れる範囲です。仕様では、部品の加工指示の自動作成は3軸(段取り1〜3回で作る部品)で、レリーフや立体の彫刻なら3軸・4軸・同時5軸の加工指示を作れると書かれています。加工を画面で再現して確かめる機能は3軸の記載です。部品を5軸で削る指示は、Fusion 360やMastercamなど他社のCAMから機械へ直接送る仕組みも案内されています。5軸を決め手にするなら、製品版の動作範囲と価格に加えて、対応するCAMや機械へのデータの渡し方、ソフト代まで見て決めます。X1のソフトと5軸の仕様

5軸の精度仕様も確認する

材料の向きを変えるとき、複数の軸を連動させて刃先を狙った位置へ動かす機能がRTCPです。X1のRTCP位置決め精度は±0.04 mmという開発中の値です。

先ほどの直線軸の繰り返し精度±0.01 mmとは測る内容が違います。数値だけで優劣を付けたり、5軸を足せば完成品の精度が上がると判断したりはできません。5軸モジュールの詳細仕様

削り始める前の準備を、どこまで手伝ってくれるか

材料の向きが決まっても、CNCには「どの刃を、どの順番で、どこへ動かすか」を渡す必要があります。3Dの設計データからこの指示を作るソフトがCAMです。

以前の記事で比較したNestWorks C500もX1も、この指示づくりの自動化と、刃を自動で替えるATC(自動工具交換)を案内しています。

違いが出るのは、その手前です。「この形の奥まで刃が届くか」「削る場所を邪魔せずに材料を押さえられるか」。X1は、加工しにくい形を探すDFM解析と、固定方法の提案・手順案内まで掲げています。

削り始めるまでの準備と、両社が案内している支援形の確認、固定、加工指示、加工前の点検、加工中の工具交換の5工程について、C500とX1の公式案内を並べた図。C500の形の確認と加工前の点検は製品ページで確認できず、固定方法の提案も未確認。X1はDFM解析、固定方法の案内、加工指示の自動作成(部品は3軸、彫刻は5軸まで)、3軸の加工の再現(シミュレーション)、9本の自動工具交換を案内。 削り始めるまでの準備を、どこまで助けるか 準備の順番に、両社の公式案内を並べた図 C500 X1 ① 形を確認する ② 押さえ方を決める ③ 加工指示を作る ④ 加工前に点検する ⑤ 削りながら刃を替える 刃が届くか・薄い壁 固定具・持ち替え CAM 衝突・削り残し ATC 製品ページでは個別項目を確認できず DFM解析で加工しにくい形を指摘 電動バイス固定の提案は未確認 固定方法の候補と3Dの手順を案内 Smart CAMで経路・条件を自動生成 部品は3軸、彫刻は5軸まで指示を生成 製品ページでは詳細を確認できず 3軸の加工を再現し衝突・削り残しを確認 自動工具交換自動校正・測定 自動工具交換(9本)プローブで測定 公式に案内あり 確認できず(機能がないという意味ではない) 2026年9月20日の両社公式ページ・X1仕様表から作図 / 実演で確かめた手間の比較ではありません
両社の公式案内を準備の順番に並べた作図。点線は確認した製品ページで見つからなかった項目で、機能がないという意味ではありません。手間を実演で比べた結果でもありません。

両社が案内している機能を表にすると、次のとおりです。

助けてほしい作業C500の案内X1の案内
刃を交換し、工具の情報を扱う自動工具交換、自動校正・測定、工具のタグによるデータ管理9本の工具に対応する自動工具交換、材料に触れて測るプローブ、工具のタグによる識別
設計データから削る指示を作るSmart CAMで経路・条件を自動生成STEP/STLという形式の3Dデータから、部品は3軸、彫刻は同時5軸までの加工指示を生成。生成後も修正可能
加工しにくい形を見つける確認した製品ページでは、個別項目は不明薄い壁・内角・刃が届かない箇所などを調べるDFM解析
材料の押さえ方を決める電動で材料を挟むバイスを案内。固定方法の自動提案は未確認固定方法の候補と、3Dの手順を案内
加工前に問題を探す確認した製品ページでは詳細不明3軸の加工を画面上で再現し、削りすぎ・削り残し、工具や保持具と材料・固定具の衝突を確認

出典:C500公式/X1公式/X1のソフト・測定・工具識別の仕様。2026年9月20日時点の案内です。工具のタグを読む仕組みはRFIDと呼ばれます。C500の「不明」「未確認」は、機能がないという意味ではありません。

X1のメーカー投稿には、バイク用マウントの3Dデータから、加工しにくい箇所の確認と、荒削りから仕上げまでの手順づくりをした紹介もあります。バイク用マウントの加工紹介

自分がX1に期待しているところ

具体的には、この三つです。

  • 形のまま削れるか。 工具が届かない内側や薄い壁をDFMが指摘してくれれば、削る前に設計や削る向きを見直せます。直すかどうかを決めるのは自分です。
  • どこを押さえるか。 工程ごとに固定方法が出れば、削る場所を邪魔しない押さえ方や、持ち替えの順番を考えやすくなります。置き直す作業そのものを機械がやってくれるわけではありません。
  • 動かして問題ないか。 3軸のシミュレーションで、削り残しや工具・保持具のぶつかりを削る前に確認できます。固定の緩みや刃の摩耗まで分かるものではありません。

形の違う小物を作るたびに設計・固定・刃の動きを考えるなら、出番は多そうです。同じ部品を決まった手順で作るだけなら、そこまで重視しなくていいと思います。どれも公表されている機能からの見立てで、手間が減ることを測ったわけではありません。

気になる点もあります。X1がカメラなどで認識できると仕様に書いてあるのは、ToolDance公式の材料と治具です(治具は、材料を決まった位置・向きで押さえる道具のこと)。手持ちのチタン材や市販のバイスで同じように準備できるかは、まだ分かりません。認識対象・固定支援の仕様

C500も材料・工具の認識と加工条件の自動設定を案内しているので、その先をどこまで手伝ってくれるかは、実演で比べてみたいです。X1の準備支援/C500のSmart CAMと材料・工具認識

見たいのは、作りたい部品のデータから、削り始められる状態になるまでの操作と手直しです。設計を変えたときに何をやり直すかまで見られれば、C500との差がはっきりします。今のところ、何分短くなるか、失敗が何回減るかといった数字はありません。

日本で買うなら:総額と保証はまだ決まっていない

使いたい機能が決まったら、次はお金です。本体だけでなく、ソフトや装備、日本までの配送と搬入まで含めて考えます。

必要な装備を、見積もりに入れる

本体価格だけでは、使い始めるまでの費用は決まりません。刃、材料を押さえる道具、寸法を測る道具も必要です。基本の道具と、用途に応じて足す装備を分けておくと、見積もりを見比べやすくなります。

そろえるもの何のために使うか追加を考える目安
刃・固定具・測定具目的の材料を削り、固定し、必要な寸法を確かめる基本の本体と一緒に予算へ入れる
液体を流す冷却装置たくさん削る工程で、フラッドの条件も検討できるようにする深いくぼみや、何個も作る用途で比較する
加工準備を助けるソフト形状確認・固定方法・刃の動かし方の支援を使う形を変えながら作るときに評価する
材料の向きを変える5軸モジュール斜めの面などへ刃を届かせ、角度を合わせる持ち替えを減らす上から届かない面が増えたら検討する

フラッドと5軸の追加料金はそれぞれ見積もりを取り、ソフトの必要な機能がどの料金に入っているかも確かめます。5軸を使わない形が中心なら、その分を工具や測定具に回すこともできます。

VIP予約の特典と、本体の支払いは別

X1はKickstarterで販売する予定です。Kickstarterは製品化に向けて支援を募るサービスで、VIP予約をしただけでは本体の支援にはなりません。

公式の予約ページでは、早期支援価格が2,999米ドルから、VIPは2,799米ドルからと案内されています。VIPは全X1セットで200ドル以上のキャッシュバック対象ですが、2,799ドルはフラッドなどを含んだ総額ではありません。VIP予約ページ・FAQ

支払いの流れは、次のように案内されています。

  1. VIP予約で30ドルの予約金を払う。本体代に充てられるお金ではなく、後で返金されます。
  2. 本体が欲しい場合は、Kickstarterで希望の早期支援セットに別途支援する。
  3. 募集終了後、14日以内にキャッシュバックが処理される。
  4. 予約金の返金は、その14日が過ぎてから始まる。本体を支援しなかった場合も返金されます。

これは手続きが始まる時期の案内で、全部が同じ日に戻ってくるわけではありません。支払い・返金条件

日本へは発送可能。税金込みの配送条件も回答があった

メーカーにメールで聞いたところ、日本へ発送でき、配送はDDPで行うとの回答でした。DDPは、売り手が輸入の手続きと関税・税金を負担して、決めた場所まで届ける条件です。送料の額や、家の中までの搬入はまだ決まっていません。DDPの引き渡しと費用負担の解説

X1の本体は公称100 kg、幅750 × 奥行625 × 高さ772 mm。電源は100〜240 Vの交流なので日本の100 Vも範囲内ですが、必要な回路容量やプラグの形は別に確認が要ります。100 kgの本体を置き場所まで運ぶ方法も、予算に入れておきたいところです。本体寸法・重量・電源の公式仕様

正式な価格・保証・5軸の詳細は今後発表とのことでした。評価機は、先行生産分がすでに割り当て済みで、今は提供できないそうです。メールの内容は2026年9月20日に確認しています。

支援の募集開始は、メールではQ4(10〜12月)、公開発表では2026年10月です。これは募集が始まる時期で、出荷日ではありません。メーカーの公開発表

確認した時点では、C500のショップはパスワード画面、X1のVIPページは「Out of stock」(在庫なし)の表示でした。同じ装備をそろえた日本向けの総額は、まだ比べられていません。C500ショップ/X1 VIPページ

X1を選ぶ理由と、C500を残す条件

発送とDDPは回答をもらえましたが、欲しい装備・ソフト・配送まで含めた総額と保証はまだ出ていません。C500も同じ条件の見積もりがないので、どちらがお得かは今は言えません。VIPの開始価格だけでは比べられないところです。

自分が作りたいのは、チタンやステンレスの質感を生かした小物です。そのために見るのは、冷却を含めた削り方、刃を当てる向き、削る前の準備が、自分の作業に合うかどうかです。

重視する作業機種を選ぶ目安購入前に確かめる条件
金属素材から多く削り出す主軸とフラッドの構成、材料別の試験条件を重視してX1を優先比較する作りたい材料・削り方での結果と、冷却込みの総額。C500より速いかは別の比較が必要
小物を回すだけでなく傾けて加工する5軸への拡張を理由にX1を選ぶ。一つの回転で足りればC500の4軸も残す部品と固定具が動作範囲に入ること、製品版モジュールとCAMの対応・費用
形を変えながら試作する形状確認・固定案内を繰り返し使いたいならX1を優先比較する手持ち材料・治具への対応、必要なソフト機能の料金、操作の実演
3軸加工と自動工具交換・自動CAMを使う両機が候補。上の機能を使わなければ、それを理由にX1へ絞らない同じ装備をそろえた見積もり、必要寸法の加工結果、納期と保証

塊から削り出して、小さな部品を傾けて加工して、設計を変えながら試したい。そういう作り方をしたいなら、X1の装備と準備の手伝いはかなり魅力的です。 逆に、そこを使わずにC500で必要な加工ができるなら、わざわざX1に乗り換える理由はありません。

公式の商品ページ

X1のVIP予約ページは予約特典の案内です。本体の購入・支援とは別の手続きなので、募集状況や対象セットは公式ページで確認してください。