元々欲しかったのはCarvera Airでした。ただ、同じMakeraから、もっと安い「Z1」も出ています。

透明なカバーの中に4軸モジュールを取り付けたMakera Z1。横に、アルミや真鍮を削った見本の部品が並んでいる
大阪の展示で見たMakera Z1。4軸モジュールが付いた状態で、横には削った見本の部品が並んでいました(2026年10月4日、筆者撮影)。

Z1は1,399ドルから、Carvera Airは2,299ドルから。900ドル違うなら、どっちを選べばいいのか。検索候補にも「carvera air vs z1」がいちばん上に出てくるので、公式の仕様とFAQを並べて比べてみました。

どちらも未購入・未使用です。2026年10月4日に確認したMakeraの公式ページとFAQに基づく購入前の調査で、数値は公表値です。同じ条件で削り比べた結果ではありません。

先に結論:どっちが向いている?

公式の仕様とFAQから選び分けると、こうなります。理由は下の章で一つずつ見ていきます。

作りたいもの向いていそうな機種
木、アクリル、基板、小物Z1
アルミや銅が中心で、部品は200mm以内Z1 Pro
200mmを超える部品、4軸で金属を削りたいCarvera Air
工具交換まで任せたいMakeraなら上位のCarvera。ほかのメーカーならTwoTrees ED1なども候補
チタンやステンレスを続けて削りたいどちらも公式は勧めていない

共通しているところ

違いを見る前に、同じところを押さえておくと比べやすくなります。

  • 自動プローブ:材料の厚みや表面の位置を測り、傾きや凸凹を補正してから削る
  • 囲い:本体が覆われていて、音や切りくずが外に出にくい
  • 工具交換:どちらも手で交換する方式。自動で入れ替えるATCはない
  • 部品:刃、コレット、レーザーモジュール(149ドル)は共通。4軸だけは機種ごとに別
  • 買い方:どちらもGlobalストアから日本へ届く。日本向けは受け取る側が通関と税金を負担(詳しくはCarvera Airの記事)。Z1は、日本のGREEN FUNDINGでも2026年10月にクラウドファンディングを始める予定(10月4日確認)

自分が惹かれていた自動プローブは、Z1にも付いています。なので選ぶ決め手は、大きさ、動きのしくみ、削れる材料のほうです。

いちばんの違いは、大きさと動きのしくみ

公式の比較表から、違いが出るところだけを抜き出しました。Makera・Z1/Makera・Carvera Air

項目Makera Z1Carvera Air
価格1,399米ドル〜2,299米ドル〜(セール)
加工範囲200×200×100mm300×200×130mm
主軸150W200W
送りねじ台形ねじボールねじ
最高移動速度1,200mm/分4,000mm/分
重さ約17kg約30kg
幅×奥行き350×470mm500×450mm
Makera Z1とCarvera Airの加工範囲と4軸の大きさ公表値を同じ縮尺で重ねた図。3軸の加工範囲はZ1が200×200mm、Carvera Airが300×200mmで、Carvera Airのほうが横に100mm広い。4軸で回せる材料はZ1が直径80×長さ150mm、Carvera Airが直径92×長さ200mm。 加工できる大きさを重ねると Makeraの公表値を同じ縮尺で描いた図(上から見た形) 3軸の加工範囲(横×奥行き) Z1 200×200mm Carvera Air 300×200mm 横に+100mm 高さはZ1が100mm、 Carvera Airが130mm 4軸で回せる材料(直径×長さ) Carvera Air:直径92×長さ200mm Z1:直径80×長さ150mm Makera公式の仕様(2026年10月4日確認)から作図。固定具の分、実際はもっと小さい
Makera公式の仕様をもとに、Z1(青)とCarvera Air(オレンジ)の加工範囲と4軸で回せる大きさを同じ縮尺で重ねた作図。

大きさ。 Z1の加工範囲は、Carvera Airより横が10cm短くなります。キーボードのプレートのような横長の部品なら、ここが先に効いてきます。その代わり、Z1は重さがほぼ半分で、幅も15cm狭いので、机の上には置きやすそうです。動作音は約70デシベルと公式FAQにあります。

動きのしくみ。 テーブルや刃を動かすねじが、Z1は台形ねじ、Carvera Airはボールねじです。ボールねじのほうが、速く動かしても位置がずれにくくなります。Makeraも、Z1とZ1 Proの違いとして「低速では精度に差はないが、高速ではボールねじのZ1 Proのほうが精度を保ちやすい」と書いています。

金属はどこまで削れる?

大きさの次に、自分にとっていちばん大事なのが削れる金属です。

Makera Z1Carvera Air
得意アルミ、真鍮、銅アルミ、真鍮、銅
鉄・ステンレス・チタン経験がなければ勧めない長時間は勧めない

Z1のFAQには、具体的な目安も載っています。アルミは1回に削る深さが1mm未満、厚みは50mmくらいまで。ガラスや石は削れません。

鉄やステンレス、チタンについては、Z1の書き方のほうが一段慎重で、「機械の想定を超えることがある」とまで書かれています。

Z1 Proは必要?

Z1には上位版のZ1 Proがあります。金属を削るなら、ここは別に考えたほうがよさそうです。

項目Z1Z1 Pro
価格(本体のみ)1,399米ドル1,799米ドル
送りねじ台形ねじボールねじ
モーターステッピング閉ループのステッピング
最高移動速度1,200mm/分2,000mm/分

公式の案内は、木や柔らかい材料が中心ならZ1、銅やアルミが中心ならZ1 Pro、です。

Z1 ProとCarvera Airの差は500ドル。この500ドルで、加工範囲が横に10cm広がり、移動速度の上限が2倍になり、4軸の力が強くなる、という見方ができます。

4軸は必要?

ペンや丸い部品を削るなら4軸が欲しくなります。ここは2機種で差がはっきりしています。

項目Makera Z1Carvera Air
4軸モジュール299米ドル499米ドル(セットなら+399)
回せる大きさ直径80×長さ150mm直径92×長さ200mm
回す力(トルク)約2.5Nm約10Nm

Z1の4軸の力は、Carvera Airのおよそ4分の1です。どんな加工で差が出るかまでは公表されていませんが、金属の丸いものを削るならCarvera Airのほうが余裕がありそうです。4軸モジュールは機種ごとに別なので、乗り換えても使い回せません。

Z1の完成度

ここまで数字で比べてきましたが、Z1の一番の魅力は、数字に出にくいところにあると思っています。

剛性だけで見れば、もっと強そうな機械はあります。たとえばC500の記事で比べたLUNYEE 3020 Novaは、HG15系のリニアガイドと1204ボールねじを使っていて、本体は599ドルでした(2026年9月8日に確認、囲いは付いていません)。

それでもZ1は、囲い、自動プローブ、ソフトまでそろえて、使い始めるところまで面倒を見てくれそうです。3Dプリンターでいえば、Bambu LabのA1 miniのような立ち位置だと感じています。

自分ならどっち?

自分の判定は、どちらも「今は見送り」です。

自分が作りたいのはチタンのキーキャップのような小物で、チタンとステンレスが削れれば十分だと思っています。Z1もCarvera Airも、そこは公式が勧めていない範囲です。なので今は、チタンを削った条件を公開しているToolDance X1を予約しています。

アルミや真鍮、木や基板が中心なら、話は変わります。小さく安く、使いやすさ重視で始めたいならZ1かZ1 Pro。大きめの部品や、金属の4軸までやりたいならCarvera Air。自分ならそう分けます。

更新履歴

  • 2026-10-04:初版。Makera公式の比較表、Z1とCarvera AirのFAQ、Globalストアの価格を確認。