卓上で同時5軸。5軸には、めちゃくちゃ憧れがあります。純粋にかっこいいんですよね。

そんな中で見つけたのが、Xhorse3Dの「Xmachine WM-100」です。机に載る大きさで、材料を傾けながら削る同時5軸に、工具を6本まで替えるATCまで付いています。ただ、値段を見て止まりました。本体だけで5,899ドル、約88.5万円です。90万は高い……。

それでも気になって調べてみたら、値段より先に、もっと大きな条件がありました。

WM-100は持っていません。Kickstarterのページと公式の発表をもとにした調査で、数字は2026年10月8日に確認したものです。

先に結論:今は、日本の個人では買えない

WM-100のKickstarterは、今のところ法人などの「個人ではないユーザー」だけが対象です。同時5軸のCNCは輸出が規制されていて、中国から出すのに許可が要るためです。お金を出せば買える、という段階ではありません。

法人などなら、同時5軸とATCが一台にまとまった、珍しい卓上機です。個人で5軸を試したいなら、今は個人でも買える機種の5軸を見ることになります。たとえば自分が予約しているToolDance X1は、個人にも送れるとToolDanceが案内しています。

公式の仕様と価格

募集は10月25日まで。目標の約5倍が集まっていて、注目されているのは確かです。

卓上で同時5軸だと、何が変わる?

3軸のCNCは、上からしか刃が当たりません。横の面や斜めの面を削るには、材料を外して向きを変え、固定し直して、位置を合わせ直す必要があります。この持ち替えのたびに手間がかかり、ずれも出ます。

5軸なら、材料を機械が傾けたり回したりしてくれるので、一度固定したまま、いろいろな向きから削れます。同時5軸は、傾けながら削り続けられるので、ねじれた曲面のような形も削れます。傾けて止めてから削る「3+2」との違いは、4軸と5軸の記事にまとめました。

Sami Luo Techによる実機紹介。11:22〜ATC、11:57〜工具測定、12:27〜プロービング、13:20〜光学センタリング、16:01〜アルミ・ステンレス等の加工例を確認できます。動画内では使用期間が数日間と説明されているため、ここでは各機能が実機で動く様子を確認する資料として参照し、長期信頼性や寸法精度の評価には使っていません。動画はYouTubeの標準埋め込み機能(プライバシー強化モード)で表示し、動画ファイルや静止画を当サイトへ複製していません。YouTubeで見る

作りたいもので言えば、チェスのナイトのように、いろんな向きに面がある形は5軸の出番です(チェスの駒の記事)。C500の記事にも書いたとおり、「5軸まで付けたら、もうボタンだけで完成させられそう」というのも、5軸に惹かれる理由です。

なぜ個人は買えないのか

理由は、Kickstarterのページにはっきり書かれています。

Xhorse3Dは8月29日の告知で、試しに申請した輸出の許可は法人向けでは下りた一方、個人向けでは下りた例がない、と説明していました。Xhorse3Dの告知 世界中に発送すると書いてあっても、それは送れる地域の話で、個人が申し込めるという意味ではありません。

DAPでの配送も、法人を前提にした形です。輸入の手続きは自分か通関業者が行い、関税と消費税も受け取る側が払います。

ToolDance X1の5軸とどう違う?

自分が予約しているToolDance X1にも、5軸を後から足すモジュールがあります。

WM-100は最初から5軸の機械で、X1は3軸の機械に5軸を足す形です。気になる輸出の規制については、ToolDanceがFAQで答えています。

同じ5軸の規制の話でも、X1は「個人にも送れる」と案内しています。ただ、「条件を満たす(eligible)」の中身と、5軸モジュールの製品版の大きさや価格は、まだ発表されていません。ここは、Kickstarterが始まってから確かめるつもりです。

90万円は、やっぱり高い

憧れはあります。でも、理性で見ると、そこまで5軸を使う加工をするのかな、とも思います。

最初に作りたいチタンのキーキャップは、上から削る3軸と、材料の持ち替えで作れそうです(キーキャップの記事)。5軸が本当に効いてくるのは、チェスのナイトや時計の部品のように、作りたい形が増えてからです。

高専で、切削だけでなく鋳造や鍛造も経験しました。そこで覚えたのは、全部の部品をブロックから削り出すのがいちばんとは限らない、ということです。5軸の自動化がいちばん活きるのは、治具や持ち替えを増やしたくない少量の試作や、複雑な小さい部品を繰り返し作る場面だと思います。自分の今の作り方だと、約90万円を5軸に払うより、まずX1の3軸で作り始めて、5軸は作りたい形が増えて、製品版の中身が分かってから決めるほうが合っています。

自分ならどうするか

今は個人で買えないので、WM-100は選びようがありません。もし個人でも買えるようになっても、今の自分には高い買い物です。

それでも、卓上で同時5軸というのはやっぱりかっこいい。個人向けの販売が始まったり、X1の5軸モジュールの中身が分かったりしたら、この記事に追記します。

参考資料

更新履歴

  • 2026-10-08:初めて公開。X1の5軸の輸出の規制について、ToolDanceのFAQ(個人にも送れる)を引用しました。9月に作った下書きを、Kickstarterの最新の情報(法人向けだけであること、配送はDAPだけ、セットと価格、出荷の予定)で書き直しました。