ZRには、記録形式がたくさんあります。R3D NE、N-RAW、ProRes RAW HQ、ProRes 422 HQ、H.265、H.264。選べるのはありがたいのですが、どれで撮るかは迷います。

いちばん差が大きいのが、RAWのR3D NEと、圧縮動画のH.265です。しかもVer.2.00では、H.265でもR3D NEと同じREDの色の設定が使えるようになる予定です。使い分けが変わりそうなので、今のうちに違いを整理しておきます。

ZRは自分で買って使っています。この記事はニコンの公式の仕様と解説をもとにした比較で、同じ場面を撮り比べた結果ではありません。Ver.2.00は11月1日の時点で未配信です。

畑の間をまっすぐ延びる道の先に、緑の山と小さな集落が見える
2026年8月、ZRを持って歩いた奈良の山の辺の道。記録形式の作例ではなく、ふだん持ち出したときの写真です。

先に結論:どっちが向いている?

優先すること向いている形式
あとで色や明るさを大きく作り込みたいR3D NE
REDのカメラと一緒に使うR3D NE
YouTubeや旅の動画で、容量を抑えたいH.265
長い時間、止めずに撮りたいH.265
撮ってすぐ見たい、編集の手間を減らしたいH.265
軽いファイルで、REDの色の設定も使いたいVer.2.00のH.265(配信後)

R3D NEは、あとで色を作り込むためのRAW

まずR3D NEから。ZRを選ぶ理由にもなる記録形式です。

色を大きく動かしても崩れにくいのが強みです。その代わり、撮ったままでは色が淡く見えて、DaVinci ResolveやPremiere Pro、Final Cut Proで仕上げるまでが1セットになります。撮影モードはMだけなので、明るさも自分で決めます。

撮るときも、撮ったあとも手をかけられる人向けの形式です。

もう一つ、カードにも気をつけたいところです。ZRのもう一つのスロットはmicroSDですが、microSDにはR3D NE、N-RAW、ProRes RAW HQ、ProRes 422 HQは記録できません(活用ガイド)。RAWで撮るなら、CFexpress Type Bのカードが必須です。

容量は、10倍近く違う

R3D NEを選ぶと、次に効いてくるのが容量です。ニコンが公表している、1TBのメディアで撮れる時間の目安を並べました。

1TBのメディアで撮れる時間の目安ニコン公表の理論値。R3D NE(6K 59.94p)約35分、N-RAW高画質(6K 59.94p)約35分、N-RAW標準画質(6K 59.94p)約69分、H.265 10bit(5.4K 59.94p)約330分、H.265 8bit(5.4K 59.94p)約360分。RAWとH.265では解像度も形式も違うため、画質や圧縮の効率を比べる数字ではない。 1TBで撮れる時間の目安 ニコンが公表している理論値(記録の設定はそれぞれ違う) RAW H.265(圧縮) R3D NE6K 59.94p 約35分 N-RAW 高画質6K 59.94p 約35分 N-RAW 標準画質6K 59.94p 約69分 H.265 10bit5.4K 59.94p 約330分 H.265 8bit5.4K 59.94p 約360分 解像度も形式も違うので、画質や圧縮の効率を比べる数字ではありません 出典:ニコン「ZRで解説する記録フォーマットの選び方」(2026年11月1日確認)
1TBのメディアで撮れる時間の目安(ニコン公表の理論値)。RAWは6K、H.265は5.4Kで、設定が違います。

R3D NEの6K 60pは約35分、H.265 10bitの5.4K 60pは約330分です。解像度も形式も違うので、「H.265のほうが9倍効率がいい」という比べ方はできません。それでも、カードやパソコンにかかる負担が桁で変わるのは確かです。

1TBのカードで35分ということは、1時間撮れば2枚目が要ります。撮ったあとも、カードからパソコンへのコピー、保存先、バックアップ、編集ソフトでの再生と、容量はずっとついて回ります。RAWの中では、N-RAWの標準画質がR3D NEの半分くらい(1TBで約69分)です。記録フォーマットの選び方

自分のZRで、机の上のイヤホンを撮った短い動画6本(H.265 10bit、5.4K 60p、合わせて約46秒)のファイルを調べると、1分あたり約1.2GBでした。ニコンの目安(1TBで約330分)を1分あたりにすると約3GBなので、それよりかなり小さめです。H.265は写すものによって大きさが変わり、今回は動きの少ない場面でした。目安どおりの大きさなら、256GBのカードで撮れるのは約85分です。

Ver.2.00で、H.265が「間」に入る

ここまでだと、「色の自由度ならR3D NE、手軽さならH.265」で話は終わります。それを変えそうなのがVer.2.00です。

今はR3D NEだけが使っているLog3G10とREDWideGamutRGBを、H.265でも選べるようになります。ニコンは「軽量なファイルサイズでありながら高いカラーグレーディング耐性を実現」と説明しています。Ver.2.00の発表

RAWほど重いファイルは扱いたくない。でも、色はREDの設定で作りたい。そういう撮り方に、ちょうど合う選択肢が入りそうです。Ver.2.00で増える機能は、Ver.2.00の記事にまとめています。

同じ色の設定でも、RAWと同じにはならない

気をつけたいのは、色の設定が同じでも、H.265はRAWではないことです。R3D NEは12bitのRAW、H.265は圧縮された動画です。

なので、次のような場面でどこまで差が出るかは、配信されてから撮り比べないと分かりません。

  • 暗く写った部分を明るく持ち上げたとき
  • 白く飛びかけた空を戻したとき
  • 色を大きく動かしたとき
  • 暗い場所でノイズが出たとき

結局、どっちで撮るか

今の時点で分けるなら、こうなります。

  • R3D NE: 作品として色を作り込みたい日。撮る時間が短く、編集にも時間をかけられて、CFexpressのカードがあるとき。
  • H.265: 旅行やVlog、YouTubeの日。長く撮る日や、撮ってすぐ使いたいとき。microSDでも撮れます。

自分はCFexpressを持っていないので、今はH.265だけで撮っています。Ver.2.00が来たら、H.265のLog3G10を試して、分かったことをこの記事に追記します。

参考資料